鹿の肉を「もみじ」というのは何故でしょうか?
他にも動物の肉を植物の名前に例えて呼ぶものがありますよね。
理由とっても気になりませんか?
普通に「 鹿肉 」でいいじゃん!と言いたくなりますが、実はこれには深い理由があるんです。
今回はそんな食肉にまつわる話をしてみたいと思います。
鹿肉をもみじと言ったりする理由
一般的に知られているものだと
- 鹿肉=モミジ
- イノシシ=ボタン
- 馬肉=サクラ
が有名なところでしょうか。
不思議なことに、すべて植物の名前に変わっていますね。
実は日本では仏教普及の関係で、食肉禁止令が出て、奈良~江戸時代まで、食肉は禁じられていた時代がありました。
特に、ウシ・ウマ・イヌ・ニワトリ・サルの五畜の肉食は固く禁じられていたようです。
しかし、その間まったく食べていなかったのか、というとそんなことはなく、表向きは食べていないように見せるため、植物の名前をつけて「 薬食い 」と言い誤魔化したのだそうです。
「ボタン 」や「 モミジ 」というのは、いわゆる隠語だったわけですね。
その植物の由来は?
では、「 モミジ 」や「 ボタン 」はどんな理由でつけられたのでしょうか?
【イノシシ】=ボタン
イノシシの肉を煮ると、縮んで「 ぼたんの花 」のようになるから。
【馬肉】=サクラ
切り身の色合いが「 さくら 」を連想させるから。
【鹿肉】=モミジ
古今和歌集に詠まれた
「 山奥にもみじ踏み分け泣く鹿の声聞く時ぞ秋はかなき 」
という歌が由来になっているそうです。
また、イノシシの肉がボタンのように赤いから、肉をボタンの花のように盛り付けるから、という由来もあります。
他にはあるの?
馬や鹿の隠語の理由がわかったところで、ほかはどうでしょうか。
まず、ウサギですね。
ウサギって、一部の地域ではまだ食べられているのでしょうが、食べるというイメージが湧かないですよね?
どちらかといえば、ペットショップで売られているようなかわいいウサギを連想してしまい、食べるのがちょっと残酷にまで思えてくるのですが・・・
そんな私も、子どもの頃食べた記憶がありまして・・・
食べれなくはないけど、ペットという先入観があったので、正直味は微妙でした。
話は戻り、ウサギは「 月夜鳥 」と呼ばれ、ウサギを鳥になぞらえて食用にしたようです。
ここからウサギを1羽・2羽・3羽と数えるようになったということです。
ほかに
【スッポン】=マル
形から。
【フグ】=テッポウ
下手すりゃ当たって死ぬから(笑)
確かに、フグは下手すりゃ毒に当たって死んじゃいますからね。
ところで、肉といえば牛・豚・鶏ですが、この3つの食肉の隠語って何だと思いますか?
牛と豚に関しては、江戸時代まで食べる習慣がなかったため隠語はありません。
では、鶏はどうかというと、西日本の方なら今でもよく使うそうですが「 カシワ(柏) 」と言うそうです。
ちなみに東日本では、この呼び方はしないみたいですが。
鳥でいえばキジやカモもよく食べられていたようですが、隠語はないようです。
猪・鹿・狐・兎・カワウソ・オオカミ・クマ・カモシカなどを総称して「 ももんじ 」と言い、江戸時代後期には「 ももんじ屋 」で肉食を提供していたそうですよ。
まとめ
いかがでしたか?
言われてみれば、なぜ「 牡丹鍋 」って言うの?と不思議だったのですが、ようやく解せました。
それにしても、昔の人の知恵というかユーモアというのは、とても情緒があると思いませんか?
感性と想像力が豊かで、とてもセンスがある言葉遣いに脱帽させられました。